就業規則は、企業が労働者に対して適法に懲戒処分を行うための唯一の法的根拠です。多くの中小企業は、何年も事業を運営していながら書面による就業規則を有していない、または有していても登録を行っておらず、紛争が発生して初めて自社の懲戒決定が無効であることに気づきます。本稿では、企業が遵守すべき義務発生の基準、主要記載事項、および就業規則の登録手続を整理します。
就業規則の作成が義務付けられる場合
2019年労働法によれば、労働者を10人以上使用する企業は書面による就業規則を有さなければなりません。ただし、この基準は法改正のたびに見直されることが多いため、企業は適用前に現行の関連通達等と照合することが望まれます。
前記の基準に満たない企業については、法令上は書面による就業規則の発行は義務付けられていませんが、労働契約の中で懲戒処分および物的責任に関する事項をあらかじめ合意しておかなければなりません。実務上、TLAは、義務基準に達していない企業に対しても書面による就業規則の整備を推奨しています。これは人事管理の基本的なツールであり、小規模な段階から行動規範、勤務時間、懲戒に関するルールを明確にしておくことで、事業拡大時に慌てて整備する事態を避けることができるためです。
就業規則の主要記載事項
就業規則は法令および社会道徳に反してはならず、次の主要事項を含まなければなりません。
- 労働時間・休憩時間:1日および1週間の労働時間、勤務シフト、休憩時間、週休
- 職場秩序:業務範囲、就業区域、使用者の適法な業務指揮命令への服従
- 職場における労働安全衛生
- 職場におけるセクシュアルハラスメントの防止、およびその処理手続
- 企業の財産、営業秘密、技術上の秘密、知的財産の保護
- 労働契約と異なる業務への労働者の一時的な配置転換が認められる場合
- 労働規律違反行為、懲戒処分の形式、および物的責任
- 懲戒処分の権限を有する者
就業規則を発行または改定する前に、企業は事業所における労働者代表組織(存在する場合)の意見を聴取しなければなりません。これは形式的なものではなく必須の手続であり、意見聴取を示す文書を欠く登録申請書類は、労働管理機関から受理を拒否されるか、追加提出を求められる可能性があります。
労働管理機関への登録手続
書面による就業規則の作成が義務付けられる企業は、事業登録地を管轄する省人民委員会に属する内務専門機関に就業規則を登録しなければなりません(従来は労働・傷病兵・社会局が所管していましたが、2025年に労働・傷病兵・社会省が内務省に統合されたことに伴い、決定628/QD-BNV号により内務専門機関に権限が移管されました)。企業は、就業規則を発行した日から法定期間内に、少なくとも次の書類を含む登録申請書類を提出しなければなりません。就業規則登録申請書、就業規則本文、事業所における労働者代表組織の意見書(存在する場合)、および懲戒処分・物的責任に関する規定を含む企業関連文書(ある場合)です。
企業が複数の事業所、支店、生産・経営拠点を異なる地域に有し、それぞれで労働者を使用している場合、企業は登録済みの就業規則を各生産・経営拠点の所在地を管轄する内務専門機関に送付し、モニタリング・管理に供さなければなりません。就業規則の内容が法令に違反する場合、登録受理機関は企業に対して修正・補完および再登録を求める権限を有し、就業規則は適法に登録されて初めて効力を生じます。
就業規則の効力
就業規則は、省人民委員会に属する内務専門機関が有効な登録申請書類一式を受理した日から15日を経過した時点で効力を生じます。登録義務の基準に満たない企業については、就業規則の効力発生日は企業が就業規則の中で定めることができますが、労働者代表組織の意見を聴取済みであること、および法令に反しないことが引き続き求められます。
企業は、労働管理機関が登録を確認した就業規則の写しと書類受理票を、重要な法的資料として保管しておく必要があります。これは、労働監督機関の検査を受ける際、または懲戒に関する労働紛争が生じた際に、最初に提示すべき証拠となります。
有効な就業規則を欠いたまま懲戒処分を行うリスク
就業規則は、適正な手続に従って懲戒処分を行うための前提条件です。登録が義務付けられているにもかかわらず未登録の企業、または登録済みであっても違反行為および処分形式の記載が不明確な就業規則に基づいて下された懲戒決定(解雇を含む)は、労働者が提訴した場合に裁判所から違法と判断されるリスクを負います。
懲戒決定が違法と判断された場合の結果は、当初の就業規則作成・登録費用よりもはるかに重大となることが一般的です。企業は労働者を復職させ、就労できなかった期間の賃金その他の権利分を支払い、さらに規定に基づく損害賠償を負う可能性があるほか、訴訟費用や社内管理体制への信頼低下も避けられません。企業は、特に就業形態(リモートワーク、シフト制、時間外勤務)を変更する場合や、現行の就業規則に列挙されていない違反行為が実際の管理業務の中で新たに生じた場合には、就業規則を定期的に見直すことが望まれます。
よくある質問
設立したばかりで労働者が10人に満たない企業にも、書面による就業規則は必要ですか。義務ではありませんが、労働契約の中で懲戒処分および物的責任に関する事項を合意しておかなければなりません。TLAは、人事管理を早期に標準化するため、就業規則を早い段階で整備することを推奨します。
未登録の就業規則は効力を有しますか。登録が義務付けられる企業の場合、就業規則は労働管理機関が有効な書類一式の受理を確認して初めて効力を生じます。未登録の状態では、懲戒処分を行うための十分な法的根拠がないことになります。
就業規則の発行前に労働者の意見を聴取することは義務ですか。はい。企業は、就業規則を発行または改定する前に、事業所における労働者代表組織(存在する場合)の意見を聴取しなければなりません。
有効な就業規則がない状態で懲戒処分を行うと、どのようなリスクがありますか。懲戒決定が裁判所によって違法と判断され、企業が労働者を復職させたうえで規定に基づく損害賠償を負うリスクがあります。
貴社の適法な就業規則を整備・登録するために、TLA Consultingにご相談をご予約ください。



